いきなりのアクシデント”緊急着陸”


関空から大韓航空でソウル。ソウルでアエロフロートに乗り継いで、ほっと一息。
ひと眠りすればモスクワ、のはずだったのが。
離陸して2時間ほど経った頃、何やらアナウンスがあり、シートベルトのサインも。
気流が悪いのかな? モニターに写される飛行機の進路はなんだかジグザグしていて、
そのうち高度がだんだん下がっていってる、じゃないの!
ロシア語と英語と韓国語のアナウンス、早口で何も聞き取れず。
搭乗率7割くらいの客席で、私は3人掛けの席を独占状態。状況を聞ける人が近くにいない。
何があったん?と思う間もなく、飛行機はどこかの空港に着陸。ここ何処....?
”中国燃油”と車体に書かれたトラックが見えたので、どうやらここは中国。

やがて、救急車と”公安”って書かれたパトカーが来て機体に横付けになり、
非常口から担架に乗せられた人が運ばれていった。 そうか、急病人が出て緊急着陸だったのか....
でもここを飛び立てるのはいつになるんだろう?
最初は乗務員たちも皆ピリピリしていてシートベルト締めて座ってなさい、とか
トイレ行っちゃダメ! とか怖かったんだけど、待つこと数時間。
機内にまったりした空気が漂い始めた頃、飛行機から降ろされてバスで待合室に移動。

バスの中で目の前にいた韓国人の男性に聞いてみると、ここは北京。
今日中に離陸できるのか、北京で泊まることになるのかまだ誰にもわからない、と。
殺風景な待合室でさらに数時間待たされる。日本人は私だけなようだ。 
バスで話しかけた方と、そのあともポツポツと会話ができたことで、
不安な気持ちがだいぶ和らいで本当に助かった。
夜10時半にやっとアエロフロートの方が来て、今から飛びます、とのこと。
いつ着くのか?との質問に、「現地時間で夜中の3時」

空港で夜明かしして展覧会の搬入に行くしかない。予約してたホテルに電話して事情を説明した。
無事3時にモスクワ着、荷物を受け取る、はずが私のカバンが出てこない。。。
回っていたターンテーブルがガクン、と止まった。
私以外に3人ほどがポツン、と立っている。 ここまできて、まさかのロストバゲッジ,,,?
クレームを言うべきカウンターには誰もいない。
しばらくウロウロしていると、ターンテーブルが再び動き始めて、私の荷物もやってきた。

あまりの安堵に、ここですごいポカをやらかしてしまった。
手に持ってたコートを椅子に置いたまま、税関を通って(職員さんは居眠りしてたので通っただけ)
出てきてしまったのだ。朝までベンチで休んでようと座ってからしばらくして気づいた。 
コートがない! 頭の中が一瞬真っ白。
よくよく考えて、ターンテーブルだ、と気づくけれどそこは今更戻れない場所。
そしてインフォメーションのカウンターには誰もいない。
もう休むどころではなくなった頭と体で、一生懸命考える。
出国カウンターに行けばもっと賑わっているはず、と気付いて移動した。
カウンターにはちゃんと人がいて、事情を話すと何処かに電話してくれて、そして見つかった!

時計が5時を回り、空港の出口の前の停留所に路線バスがやってきた。
もう度胸が座ってしまった私、街の中心へ行くバスであることを確かめて飛び乗った。
薄明るくなり始めた街の様子を窓から見ながら、二十年前の旅のことをずっと思い出していた。
夜行バス、夜行列車で明け方に知らない町に到着することが多かったから。
あの時の感覚。いつも緊張とともに感覚を精一杯全開にして、新しい町に飛び込んで行こうとした。

アクシデントのおかげでこの感覚をもう一度味わえているんだ、とすごく懐かしくて。
きっといい旅になる!と思った。バスを降りてメトロに乗り換え、朝7時前にホテルに無事到着。


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by gurujia | 2018-12-20 20:11 | 寝言